8月最後の土曜日、ひと夏ぶりにペース走をしました。 走り出して数分で、体が自分のものではないように重いと気づきました。 息が上がるより先に、脚のほうが音を上げている。そんな感覚でした。

この記事で分かること

暑い夏は走るのがつらく、ジムや室内の練習に切り替える方は多いと思います。私もそうでした。

ところが秋に入って久しぶりに速く走ろうとしたら、思うように体が動かない。 この記事では、真夏に私がやった2つの失敗と、そこから見直した「週末しか走れない人の夏の過ごし方」を書きます。

結論

真夏に守るべきだったのは、走った距離ではなく速く走る感覚でした。 そしてジムは、走るための筋トレに絞るべきでした。

失敗の1つ目は、心拍を低く抑えたゆっくりした練習ばかりを続けたことです。 ゾーン2(会話を続けられる程度の、低い強度の心拍域)で持久力の土台を作るつもりでした。 狙いは間違っていなかったと思います。ただ、それしかやらなかった。 気づけば、速いペースを保つ力がすっかり落ちていました。

失敗の2つ目は、ジムのメニューを見た目で選んでしまったことです。 暑さで走れないぶん、ジムに通う日が増えました。鏡に映る体は確かに変わっていきました。 それが楽しくて、走るのに必要のない部分まで鍛えていました。 体重計の数字が上がったのを、私は「筋肉が増えた証拠」と前向きに受け止めていました。

私の実データ

夏明けに走った3回の記録です。

日付種別距離平均ペース平均心拍最大心拍
8/29(土)ペース走約9.0km4’40”/km139 bpm171 bpm
8/30(日)ペース走10.86km4’21”/km145 bpm166 bpm
9/4(金)ロング走22.16km5’57”/km128 bpm151 bpm

8/29の距離は、走行時間と平均ペースから出した値なので「約」を付けています。

まず見たのは、8/29の平均心拍と最大心拍の差です。 32bpmありました。 ペース走は一定の強度で押し続ける練習なので、差が大きいのは途中で強度が跳ねた証拠です。 ベストペースは3’41”/kmまで上がっていました。重い体で無理に速さを出そうとして、ムラが出たと解釈しました。 (この見方は平均心拍と最大心拍の差で見る記事で詳しく書いています。)

そこで翌日、もう一度ペース走をしました。 8/30は平均4’21”/kmで10.86km。 差は21bpmまで縮まりました。走り終えて、メモには「いい走りができた」と残しています。 1日で全部が戻ったわけではありません。それでも、ペースを揃える感覚は2本目で戻り始めました。

一方で、9/4のロング走では平均心拍128bpmのまま22.16kmを走れています。 ゆっくりした練習で作った持久力の土台は、ちゃんと残っていたということです。 夏の練習は無駄ではなかった。足りなかったのは、速さの側だけでした。

ジムのほうは、気づくのがもう少し遅れました。 9月に入っても、私は「3年更新できていない自己ベストのために筋肉強化中」のつもりで通っていました。 ペース走で感じた重さの一部が、走るのに要らない筋肉だったと認めたのは、もっと後のことです。

あなたが同じことを確かめるなら、サブ4のレースペース(1km平均5’41”/km)付近で押して、平均と最大の差を見てください。手順は同じです。

実践手順

週末にしか走れない人が、真夏を過ごすときの手順です。

  1. 1 週1本は、目標レースペース付近で押す日を残す
  2. 2 もう1本は、涼しい時間帯に心拍を上げすぎず長めに走る
  3. 3 ジムは脚と体幹の補強に絞り、見た目のメニューを混ぜない
  4. 4 月に1回、同じコースでペースと心拍を比べる
イメージ図 真夏の週末2本の使い方と、ジムの位置づけ。

1. 速く走る日を、短くてもいいので残す。 暑い日の長いペース走は消耗が大きく、週末しかない練習の翌週まで響きかねません。距離は短くて構いません。 大事なのは、レースペースで体を動かす感覚を夏の間に手放さないことです。

2. もう1本は、時間帯をずらして長めに走る。 早朝か日が落ちてからにずらし、心拍を上げすぎずに走る時間を延ばします。 夏の持久力づくりはこちらで十分です。私の失敗は、これを週2本ともやってしまったことでした。

3. ジムは「走るため」に絞る。 筋トレそのものは悪くありません。私も自己ベストの停滞を破るために始めました。 ただし、鏡を基準にメニューを選ぶと、走りに要らない重さが増えます。 「この種目は、走りのどこに効くのか」を説明できないメニューは外してください。

4. 月1回だけ、比べる。 同じコースを同じ感覚で走り、ペースと心拍を前回と比べます。 体重が増えていても、ペースと心拍が保てていれば問題ありません。 ペースが落ちて心拍が上がっているなら、増えたのは走りに要らない重さです。

注意点・うまくいかなかったパターン

暑さの中で、速さを取り戻そうと焦らないでください。 夏の終わりに私がやったのは、ひと夏ぶりのペース走を2日連続で入れることでした。 結果的に感覚は戻りましたが、気温が高い日にやるのはおすすめしません。

重さはすぐには抜けません。 付けた筋肉は、メニューを変えてもすぐに消えるものではありません。 私の体も、9月に入ってもまだ重いままでした。秋のレースを控えているなら、夏のうちに気づくほうが得です。

ゆっくり走る練習を否定する話ではありません。 9/4のロング走が示す通り、土台は残っていました。 問題は「それしかやらない」ことです。週2回しか走れないなら、2本の役割を分けるだけで夏の失敗は防げたはずでした。

本記事は個人のトレーニング体験の記録であり、医学的助言ではありません。練習強度の変更や体調に不安がある場合は医師・専門家に相談してください。