この記事で分かること

ロング走のペースをいくらにするか、という話です。

距離を踏む日だと分かってはいても、走り出すと時計のペース表示が気になります。「せっかく2時間使うのだから、レースペースに近い方が練習になるのではないか」と考えると、ペースは上がっていきます。

結果として起きるのは、後半に落ちるか、翌週まで疲労が残るかのどちらかです。どちらも、その日に狙っていたものとは違います。

この記事では、ロング走のペースをどこに置くかを、同じ週に走った2本の比較で示します。

結論

ロング走はレースペースより遅く走ります。速く走る練習ではなく、長く動く練習だからです。

数字で言うと、私は同じ週に4’21”/kmのペース走と5’57”/kmのロング走を走っています。同じ人間が、1kmあたり1分36秒違うペースで走っているわけです。これは調子の差ではなく、狙っている場所が違うからです。

ロング走で速く走ってしまうと、2時間動く練習と、速く走る練習の中間にある何かになります。どちらの効果も中途半端に取りに行った結果、狙いが消えます。

私の実データ

同じ週の2本です。

日付種別距離平均ペース合計タイム平均心拍最大心拍気温
8/30(日)ペース走10.86km4’21”/km47:12145 bpm166 bpm24℃
9/4(金)ロング走22.16km5’57”/km2:11:58128 bpm151 bpm25℃

何を見たか

見たのは3つです。平均ペース、平均心拍、そして合計タイムです。

ロング走は22.16kmを2時間11分58秒、平均5’57”/km、平均心拍128bpmでした。同じ週のペース走と並べると、距離は2.04倍、ペースは96秒/km遅く、平均心拍は17bpm低いという関係になります。

どう解釈したか

距離を2倍にして、ペースを1分36秒/km落としたら、心拍が17bpm下がりました。この3つはセットで動いています。

平均心拍128bpmは、この日の最大151bpmに対して低い位置にあります。2時間を超えて動き続けても心肺が上がりきらない領域に収まっていた、ということです。ロング走の狙いが「長く動くこと」なら、これは狙いどおりの数字です。

逆に、ここでペースだけを上げたらどうなるか。心拍は上がり、2時間持たせるのが難しくなります。距離を削って調整すれば、今度は「長く動く」という当初の目的が消えます。ペースを1つ動かすと、距離と心拍の両方が連れて動くので、狙いが定まらなくなるわけです。

ベストペースは4’35”/kmまで出ていました。ただしこれは瞬間値で、平均は5’57”/kmに収まっています。一瞬速い区間があること自体は問題になりません。

何を変えるか

このデータからはこう決められます。次に伸ばすのは距離か時間で、ペースは上げない。

22kmを2時間11分で動けたのなら、まだ伸ばせる余地があるかどうかは、距離を足して確かめるのが筋です。ここでペースを上げてしまうと、次のデータを見たときに「距離が増えたからきつかったのか、速くしたからきつかったのか」が分からなくなります。

動かす条件は1つずつにする。前回の記事でペース走について書いたのと同じ考え方で、ロング走でも変わりません。

実践手順

週2〜3回しか走れない前提での手順です。

  1. 1 ロング走の日は目標を距離ではなく「動き続ける時間」で決める
  2. 2 走っている間は時計のペース表示ではなく経過時間だけを見る
  3. 3 走り終わったら平均ペースと平均心拍の2つを記録する
  4. 4 同じ週のポイント練習の平均ペースと引き算する
  5. 5 差が1分/kmを下回っていたら、そのロング走は速すぎる
ロング走のペースが速すぎないかを、週内のポイント練習との差で確かめる流れ。

目標を時間で決めるのが起点です。 「20km走る」と決めると、残り距離を減らしたくてペースが上がります。「2時間動く」と決めれば、速く走る理由がなくなります。距離は結果として付いてきます。

走っている間はペース表示を見ないほうがうまくいきます。 表示を見ると、速い数字を出したくなります。見るのは経過時間だけで足ります。

判定は週内の引き算でやります。 ロング走の平均ペースと、同じ週のポイント練習の平均ペースを引き算してください。私の場合は96秒/kmでした。この差が縮んできたら、ロング走で頑張りすぎているサインとして扱えます。ロング走が速くなったのか、ポイント練習が遅くなったのか、どちらにしても週の設計が崩れています。

ここまでのペースは私のもので、サブ3〜サブエガ水準の数字です。サブ4のレースペースは1km平均5’41”/kmですから、私のロング走(5’57”/km)はそれに近い数字に見えます。ただしこれは私のレースペースが読者より速いためで、ペースそのものを真似する意味はありません。 真似するのは「自分のポイント練習より1分/km以上遅く走る」という関係のほうです。

注意点・うまくいかなかったパターン

終盤の心拍は見ておいてください。 今回は最後の25分ほどが平均線より上に移り、151bpmに届いていました。ロング走で終盤に心拍が上がるのは、疲労で同じペースが重くなった場合と、単にペースを上げた場合の両方で起きます。時間ビューのグラフでは、この2つは同じ形に見えます。 切り分けるには、グラフを距離ビューに切り替えるか、ラップごとのペースと心拍を並べてください。

ペースが大きく落ちてすぐ戻る箇所が多数ありました。 平均5’57”/kmはそれを含んだ数字です。通しで5’57”を維持したわけではないので、「一定ペースで2時間走った」という読み方はできません。

気温25℃でした。 涼しい時期の同じペースとは、心拍の出方が変わります。季節をまたいだ比較には使えません。

1本では基準になりません。 96秒/kmという差が自分にとって適正かどうかは、この1本では決まりません。数週ぶん記録して、後半が落ちなかった週の差を自分の基準として扱ってください。


本記事は個人のトレーニング体験の記録であり、医学的助言ではありません。練習強度の変更や体調に不安がある場合は医師・専門家に相談してください。