この記事で分かること
「今日のペース走、ちゃんと練習になったんだろうか」
週末に40分走って、そこそこ疲れて、それで終わり。GPSウォッチには数字が残っているのに、その日の練習が狙い通りだったのかどうかは分からない。この状態の方は多いと思います。
平日に走れないと、ここが特に効いてきます。週2回しか走れないなら、1本あたりの精度が結果を左右します。ところが多くの人が記録しているのは距離とペースだけで、その2つでは「揃っていたかどうか」は分かりません。
この記事では、走り終わった後に時計に残る2つの数字だけで、その練習の強度が揃っていたかを判定する方法を書きます。新しい機材も、新しい練習メニューも要りません。
結論
平均心拍と最大心拍の差を見てください。
差が大きい日は、狙った強度を保てなかった日です。逆に差が小さければ、40分なら40分を通して同じ強度で走れたことになります。
揃った日 差が小さい
ぶれた日 差が大きい
ペース走は「設定した強度を一定に保つ」ことが目的の練習です。速く走ることが目的ではありません。途中で無意識に上げてしまうと、狙った刺激からずれるうえ、疲労だけが余分に残ります。上げた分だけ得をするわけではないのが、この練習の厄介なところです。
そして重要な点がもう1つあります。何bpm差なら合格、という共通の基準はありません。 心拍数は個人差が大きく、同じ人でも気温や睡眠で動きます。他人の数字を借りてくることはできません。
やるべきなのは、自分の「揃った日」の差を知り、それを基準にすることです。手順は後半に書きます。
私の実データ
直近の私のペース走です。
| 日付 | 種別 | 距離 | 平均ペース | ベストペース | 走行時間 | 平均心拍 | 最大心拍 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 8/29(土) | ペース走 | 約9.0km | 4’40”/km | 3’41”/km | 42分06秒 | 139 bpm | 171 bpm |
距離は走行時間と平均ペースから出した値なので「約」を付けています。
まず平均心拍139bpmから見ます。この心拍で42分続いたということは、息が上がりきらない範囲で走り続けられたということです。短い会話ならできる程度の強度で、練習の土台を作る領域として扱われます。
注目したいのは、その強度で4’40”/kmが出ているという組み合わせです。サブ4のレースペースは1km平均5’41”/kmですから、それより1分速いペースを、心拍を上げきらずに出せている状態です。ここだけ見れば良い内容です。
問題は最大心拍171bpm、平均との差が32bpmあることです。
ベストペースが3’41”/kmまで上がっていることと合わせると、42分のあいだ一定ではなく、どこかで明確に強度が上がった区間があったと分かります。ペース走としては揃っていません。「速く走れた日」ではなく、揃えられなかった日です。
実践手順
週2〜3回しか走れない前提で、実際にどうするかです。全体の流れは5つです。
- 1 比較用のコースを1本決める
- 2 40分前後、会話ができる強度で走る
- 3 走り終わったら平均心拍と最大心拍をメモする
- 4 3回ぶんためて、自分の基準値を作る
- 5 以後は差を狭めることを目標にする
1. 比較用のコースを1本決める
差を比べるには、条件を揃える必要があります。坂・信号・向かい風があれば、強度を保っていても心拍は動きます。
平坦で、信号が少なく、いつでも走れる場所を1本決めてください。河川敷や公園の周回路が向きます。毎回ここで測る、と決めるのが出発点です。
2. 40分前後、会話ができる強度で走る
距離は決めなくて構いません。時間で区切ってください。40分と決めて走り出し、40分で止めます。
強度の目安は「短い会話ならできる、歌は歌えない」程度です。時計のペース表示は見ないほうがうまくいきます。表示を見ると、速い数字を出したくなって上げてしまうためです。
3. 走り終わったら、2つの数字だけメモする
アプリを開いて、平均心拍と最大心拍だけ見ます。心拍計付きのGPSウォッチであれば、どちらも記録に残っているはずです。
引き算した差を、日付と一緒にメモしてください。スマホのメモアプリで十分です。
9/6 平均138 / 最大166 → 差28
9/13 平均141 / 最大159 → 差18
9/20 平均139 / 最大175 → 差36
4. 3回走って、自分の基準値を作る
3回分たまると、自分の中での「揃った日」と「ぶれた日」が見えてきます。上の例なら、9/13が揃った日、9/20がぶれた日です。
これであなただけの基準値ができました。以後はこの値と比べます。他人の数字は要りません。
5. 以後は差を狭めることを目標にする
次のペース走の目標は「速く走ること」ではなく「前回より差を狭めること」になります。
同じ強度で走り続ける感覚は、距離を踏まなくても身につきます。週2回しか走れない人にとって、これは費用対効果の高い部類の課題です。
注意点・うまくいかなかったパターン
ラップの記録が無いと、原因を特定できません。
差の大きさだけでは、何km地点で上がったのかまでは特定できません。「向かい風の区間だったのか」「後半に飽きて上げたのか」を切り分けるにはラップが要ります。差を見る習慣とセットで、ラップも後から見返せるように残してください。
差が小さければ良い、という話ではありません。
これはペース走に限った指標です。インターバル走のように、意図的に上げ下げする練習では差が開いて当然です。目的が「一定に保つこと」である練習にだけ使ってください。
心拍の絶対値を他人と比べないでください。
139bpmという数字自体に意味はありません。心拍数は個人差が大きく、同じ人でも気温・睡眠・体調で動きます。意味があるのは自分の中での比較だけです。同じコースを同じ感覚で走ったときの心拍が下がってきていれば、走力が上がっているということになります。
手首の光学式心拍計は、瞬間的に跳ねることがあります。
腕時計型のセンサーは、腕の振りやバンドの緩みで一時的に高い値を拾うことがあります。最大心拍だけが極端に高く、その前後のグラフが不自然に飛んでいる場合は、機器側の誤検知を疑ってください。1回の数字で判断せず、3回の傾向で見ることをおすすめします。
なお走り始めは心拍が強度に追いつきません。立ち上がりの区間があることは前提として、回を重ねた比較で判断してください。
まずは次の練習で、平均心拍と最大心拍の2つをメモするところから始めてみてください。3回分たまれば、距離を増やさなくても練習の質を測れるようになります。
本記事は個人のトレーニング体験の記録であり、医学的助言ではありません。練習強度の変更や体調に不安がある場合は医師・専門家に相談してください。